あんこの缶詰は、どうして“ゆであずき”という商品名がついていることが多いのでしょうか?
そもそも「ゆであずき」は、あんことは全く別の食べ物です。
ゆであずきがどのようなものかを理解するために、お汁粉とぜんざいの呼び名の違いについて整理しておこうと思います。
関東と関西のお汁粉とぜんざいの呼び名の違いが理解を助けてくれます。
以下にまとめました。
「ゆであずき」とは、田舎汁粉に似ていますが、ゆであずきには餅が入っていません。
小豆を茹で炊き、汁気を十分に残したまま、甘味を加えただけのものです。
江戸時代から昭和初期頃まで「ゆであずき売り」という商いが存在し、盛り場(人がたくさん集まる場所)や神社仏閣の境内にお店を出していたという記録が残っています。
さて、「ゆであずき」という缶詰が発売されたのは、関東大震災以降、大正から昭和初期にかけて、缶詰の製造が活発になり始めた頃のことです。
当時の缶詰の技術では、汁気のある状態で製造することが難しかったようで、汁気のないトロリとした茹でた小豆が缶詰に充填され、販売されたのが始まりとなっています。
もはや、これは「あんこ」に近い状態であり、「ゆであずき」はそのまま、あんこの缶詰として、名前が定着したと言われているのです。