あんことは?
弥生時代頃より、日本では無病息災や魔除けを祈願する行事に小豆を使った料理が食べられていました。
あんこの原型が伝わったとされるのは、飛鳥時代と言われています。遣隋使により中国から伝えられ、当時は、饅頭などの中に詰める肉や野菜などの詰めものを意味していました。
その後、肉食を避ける禅僧などの活躍により、小豆を使用した今のあんこのような形となりましたが、当時はまだ塩味のものが主流でした。
甘いあんこが庶民の口に入るようになったのは、江戸時代です。
しかしながら、実はあんこは、食べ物としての定義すらこれまであいまいな点ありました。
餡とあんこの違いは何なのか、その境界線すら明確に示されてきませんでした。(ちなみに、「あんこ」というのは「あん」の俗語であり、明治時代から使用されていたようです。「餡粉」などの当て字も当時はありました。)
しかし、今やグローバル時代の真っ只中であり、多くの日本文化が世界で受け入れられ始めています。
和食を代表する食べ物として、今あんこは世界に通用する新たな定義が求められています。
あんことは何なのか?
日本あんこ協会では、あんこを通じて世界平和を実現するために必要な新たなあんこの定義を2つの視点で捉えています。
(1)グローバルスタンダードを見据えた物性的定義
あんことは、食材を煮詰めて練ったペースト状のものである。
砂糖を入れること、材料が豆であること、甘味であることは十分条件であり、必要条件ではない。
例えば、生餡は砂糖の入っていないあんこです。
中東の伝統料理であるフムスは、茹でたヒヨコ豆にニンニク、練り胡麻、オリーブオイル、レモン汁などを加えてすりつぶし、塩で調味したペースト状の料理ですが、これもあんこの一種であると考えます。
(2)あんこに新たな価値を付加する感性的定義
あんことは、その人にとって大切な人(家族や育ての親、友人など)から無条件かつ無限の愛を感じられる象徴である。
今や世界は物質至上主義から脱皮し、精神的充足を必要とする社会になりつつあります。
あんこの概念的新定義として、ただの食べ物ではなく、家族愛、ひいては人間愛の象徴として考えます。
私どもは創立以来、実に多くのあんこファンの皆様と出会って参りました。
その中で、あんこファンの皆様の記憶に、実に多くのあんこにまつわる「ぬくもり」あるエピソードが息づいていることに気づきました。
「昔おばあちゃんが作ってくれたあんこの味」「家族みんなで食べた懐かしいたい焼き」「親戚からいただいたお歳暮の羊羹」など、私たちとあんこの間には、常に身近な人たちとのぬくもりある記憶が存在するのです。
これほどハートフルな食べ物は、あんこをおいて、他にございません。
これこそが、あんこの感性的定義の所以なのです。
あんこやあんこ菓子の歴史
あんこ、そしてあんこを使ったお菓子は我が国にたくさん存在します。
しかし、それらのルーツや成り立ちなどは、あまり多くの人に知られていません。
あんこのことを勉強しましょう。
まずは、あんコラムがあんこ学習に役立ちます。